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メインの意味とバタンキュー事件! |
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「ふがぁ〜!良く寝たぁ〜!」と気持ち良く起きたのもつかのま、またもや緊張が全身にビビビビビィ〜と来て眠気がいつしか消えていたのだ!そして負けそうになる気持ちを隠すように、またもやユーミンの歌を口ずさみながらひたすらお店まで力強く歩いて行った。「前へ、前へ前へ...」 お店に着いて仕込みにとりかかり、しばらくしたら昨日とは違う自分に気がついた。そう、そうなのだ。緊張が少し薄れているではないか!とはいっても、メガトン級の緊張なので少し減ったぐらいじゃまだまだ「この緊張感が気持ちいいぃ〜!」とはいくはずがない。とりあえず、せっせと今日もソース作りに励んだのだ!さてと、ご飯も食べたし、いよいよ「オープンでぇ〜す!」 オープンの合図とともにお店の照明が落とされ、気合いまんまんでお客さんを待った。が、またもや出足が悪く気合いも緊張も薄らいだ頃に1人、2人とお客さんの影が...。でたぁ〜炸裂!あっと言う間に店内は満席でグリルのカウンターを見ると恐ろしい程のオーダー表の山、山、チョモランマ!「えぇ〜と、これがホールドで...こっちがアペタイザーだから先に作って...あれっでもこっちが先だったっけ?」と遊園地で迷子になった子供のように不安な顔でキョロキョロとしまくっていたら、たまりかねたチーフの声が飛んで来たぁ〜!「これは後で!こっちが先!」と見た瞬間に頭の中で優先順位を叩き出してしまう!「さすがぁ〜チーフ!」と感心している場合ではないのだぁ〜!行くぞぉ〜、それぇ〜!「次にステーキ3枚と餃子、それが終ったらステーキ5枚に牛のたたきにカルパッチョ!その次にタルタルと焼きなすに銀だらのグリルは入りまぁ〜す!」と動いていたら恐ろしい程の汗が吹き出していた。しかし、この汗が「冷や汗」なのか「熱くて出た汗」なのか知るよしもない。うげぇ〜と油煙で気持ち悪くなるのを押さえてひたすら「取り出す、焼く、盛って出す」のくり返しが3〜4時間続いた。さすがに予想してた通り、メインでの大混雑は体の疲れだけではなく頭や精神的な部分までに疲れを感じた。そうこうと悪戦苦闘をしている内に何とか仕事は終った。俺は本来のメインの意味を多分取り違えていたのだろう。それは単純だが、ただポジションが変わるだけだと思っていた。しかしそれは全く違うものだった。今日知ったのだが、俺が知ったメインとはバレーボールでいえばセッターみたな役割で次々と作戦を高速なスピードで考え指令を出しながらコントロールしていく頭脳ではないだろうか?このメインの無駄のない指令こそがすべての行動を潤滑にしていき、初めて仕事となるような気がした。その上、お客さんとの会話やしぐさまでにも神経をそそがなくてはならない。本当に思い知らされた1日だった。そして、いつものお疲れビールもいらないぐらい疲れ果て、やっとの思いで着替えてバーカウンターに座って赤ワインをグラスで頼んだ。しかしぜんぜん美味しくなく、ただただ口から胃の中にゆっくりと流し込むだけの行為が続いていた。なぜ美味しくなかったかというとたぶん、人間は疲れ過ぎると五感が鈍くなり、感じる事より睡眠や休息を自然ととるように命令がでてしまうためではないだろうか。みんなの前では疲れた顔を見せず、その日はすぐに家に帰った...。 家についてびっくりした事にベッドに横たわったかと思うとそのまま朝まで目が覚めなかった。 俺は今まで生きて来た中でベスト3に入る「バタンキュー事件」を体験した。俺は体力的に一般の人よりは少し劣っているのは知っていたが、(なにせずぅ〜とデスクワークだったもんで)その想像よりも遥か彼方の世界に引きずり込まれ思い知らされた1日だった。まさか、こんなに疲れてしまうなんて夢にも思わなかったし、そんな自分の弱さとか強さをこの仕事を通して久しぶりに味わった。(あぁ〜本当に疲れたのだぁ〜!ふぅ〜!) みんなもこんな体験あるのかなぁ〜?そんじゃぁ〜とりあえず、また寝ます。食べて寝ないと人間は生きていけないからなぁ〜!おやすみなのだ! |