シェフの道ー第44話ー 気紛れ天気ちゃんと記憶作りのお手伝い!

leaf
気紛れ天気ちゃんと記憶作りのお手伝い!

<< contents みんなぁ〜!元気かぁ〜?俺は何とか生きてるぞぉ〜!って大げさだけど。 風邪の方は何とかピークを過ぎ、残るは「咳」だけになったのだ。またこの咳がしつこいのなんのってさ。薬を飲んでもなかなか治らないのだ。咳って結構、体力を使うよね。でもこんな咳には負けてられないのだ!さぁ〜今日も張り切って1週間分を書きまくるのだ。それでは読んでくれぇ〜! 今週は先週の寒さが嘘のように暖かくポカポカポカァ〜と眠くなる陽気の良さだったのだ。しかし天気予報によると来週からいきなり気温が6℃近くにまで下がり、あげくに「もしかしたら雪が降るでしょう!」とまで言っていた。もう冬じゃないかぁ〜!よっこらしょと出したコートも何だかみすぼらしくシワシワなので急いで風通しのいい所に干している始末なのだ。 さてと「第5回まかない大作戦」は先週の焦がした分の屈辱戦となったのだ。今回のメニューは「豆腐入り肉団子と野菜の煮物と茄子の炒め煮そしてきゅうりとワカメの酢の物」の3品だった。前回は焦げ焦げのためかなりみすぼらしいかったのだが今回は大成功に終ったのだ。3品を1時間以内で作らなくてはならなかったが何とか出来たのだ。でもさ何だか作ってるうちに自分が給食当番のおやじに感じてきて不思議な気分になったのだ。でもキッチンのチーフが「まかないは人のために作るんじゃなく自分の成長と訓練に役立てる!」と言っていたのだ。まさに俺の心のツボにグッサリくる一言だった。そんでもってこれを励みに頑張ってしまったのだ。でも逆に考えれば「自分の好きな物を作って食べれる!」っと言う利点はあるんだけどね。 そして週末は恐ろしく忙しかったのだ!ステーキも51枚も焼きに焼きまくって、あぁ〜疲れたのだ。そんな忙しいなか今日は一組のお客さんの話をしてみるのだ。その人達は多分、親子でお父さんは年の頃なら45歳ぐらい、男の子は10歳ぐらいだったと思うのだ。格好は失礼だがあまりいい格好はしていなかった。お母さんは来ていなくて、俺の想像では離婚してお父さんが息子を引き取ったって感じだった。お父さんはお寿司、そして子供はリブアイステーキをミディアムで頼んだのだ。そこまではまぁ〜普通のお客さんだったのだ。しかしステーキを焼き、客席に運ばれてすぐに「焼き直し」の通達が来た。「すみませぇ〜ん!もう少しクックしてもらえませんか?」『えっ!ミディアムレアになってた?』って聞くとどうやら親子でもめていたようである。子供はウェルダンで焼いて欲しかったのに父親は「ステーキはウェルダンにすると肉が固くなって食べられたものではないからミディアムにしとけ!」って言ったらしく子供は親の言う通りにした。しかし、子供はいざステーキが来ると不満そうで、それで焼き直しが来たのだ。それでまぁ〜お客さんの希望を快く引き受けるポリシィーのグリルとしては『いいですよ!ちょっと時間ください』と言って早速クック開始!そして希望のウェルダンに仕上げ担当のウエイターを待ったが忙しくて中々受け取りには来てくれず、ふと子供を見ると「早くぅ〜」とこっちを見ている。子供のお腹の空いてるのを見兼ねてシェフ自らのサーブとなった。『お待たせぇ〜遅くなってなってごめんね。それともし他に何かあれば遠慮なく言ってください』と言い、目の前のグリルセクションに戻った。ところがいざ子供が食べようとナイフとフォークを手にしてみたものの、幼いために上手く使えずお父さんがステーキを切ってあげていた。それを見ていたら担当のウエイターが来て「あぁ〜出してくれたんですね、有難うございます!」『あのさぁ〜子供がステーキ切れなさそうだから俺がカットしてやろうか?!何か食べにくそうだよね』と聞いたらあっさりと「いや大丈夫ですよ! 」と言ってまた忙しくウエイターは去って行った。俺は『何だよぉ〜それでもウエイターかぁ〜!俺のカットする時間は俺の仕事でお前には迷惑かけないのによぉ〜!』と思いつつ俺もオーダーがたまっていたのでとりあえず戻った。そして脇目で親子を見ながらステーキを焼いていた。その時だった。ふと俺の脳裏にある思い出が浮かんできたのだ。 それはまだ俺が幼い頃、両親は共働きであまり家にいず俺は父親方のおばあちゃんと5人で暮らしていた。両親は休みの日でも、父は接待で会社の人と過ごし、母は家事に追われていた。そんな親の忙しさを俺は子供ながらに感じていて『どこかに連れっててよぉ〜』とはとても言えなかった。たまにレストランに行くとしても洋食が苦手な父は行かず、もっぱら母と弟と3人で出かけていた。だから俺の父親が俺に、この目の前の親子の様に父親が息子にステーキを切ってあげるなど記憶の片隅にも無く、何だかうらやましく思えて来たのだ。俺は単純に食べにくかったら切ってあげたいと思ったがレストランに来て父親が子供のステーキを切ってあげると言うのはすごく子供の幼い記憶にきっといい思い出なるに違い無く、俺はその大事な思い出の記憶を自分がカットする事によって壊してしまう所だったのだ。きっと訳はある親子だとは思うが子供は何十年かして「あぁ〜俺はよく親父とレストランに行って親父ときたら俺の食べにくい物を食べ易くしてくれて本当に優しい父親だったなぁ〜」なぁ〜んてきっと思い出すに違い無い。 俺が思うにレストランとは「ただお客さんにシェフは料理を作り、それをウエイターが出す」では無くて時には来てくれたお客さんの思いで作りにこのスペースを借りて演出しなくてはいけない」とつくずく思う1日だった。美味しい物が食べたい!普段忙しい人とのコミュニケーション、そして終った後の「あぁ〜今日は美味しい物を食べて、みんなと騒いで楽しかったなぁ〜!また来たいなぁ〜!」と思わせるお店作りを俺みたいなひよっこにはまだまだ何の力も無いがチャレンジしていきたいと思う。そう思うと何だかウエイターにに腹を立ててた俺は結果的には彼のルーズさが上手い事いってしまって不思議な気分である。でもあのウエイターもそこまで考えてサーブしてるとは到底思えないけれど...。とにもかくにも結果往来といったとこである。またあの親子、来ないかなぁ〜!頑張れよぉ〜たくさんお肉食べてたくましい男になってくれぇ〜!おっちゃんは待ってるぞぉ〜!(俺はいったい何者なのだ!うぉ〜〜〜〜!) 今日は少しシリアスタッチなシェフの道だったのだ。みんなぁ〜最後までおつき合いしてくれて有難うなのだ!そんじゃぁ〜また来週このページで会おう!それでは...バイバイバハハァ〜イなのだ!