シェフの道ー第49話ー 落花生打撲意見とオムニバスな11月。

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落花生打撲意見とオムニバスな11月。

<< contents 「カサカサ、ガサガサ、サクサクサク、ヒラヒラヒラァ〜!」とニューヨークは寒い寒い冬です。みんなの街はどうだろう?気温はだいたい10℃前後でたまに5、6℃になるのだ。しかし忙しくてすっかり言うのを忘れていたがニューヨークには早くも「雪」が...。厳密に言うと「みぞれ」だがいつ降ったのかは忘れたのだ。多分この1〜2週間の間だったと思う。お客さんの1人が「あぁ〜寒い!外は雪だよ!」って言いながら入って来たのは覚えているのだ。俺は忙しくてすぐには行けなかったのだが、しばらくして裏口から外へ出てみるとすでに止んでいたのだ。毎年「初雪」ははずして無かったのになぁ〜!今年は残念だったのだ。さてさて今日はたくさん書く事があるのでサクサクと行くのだ!それでは始まり、始まり。

前半は「第8回まかない大作戦」。今回は「肉豆腐」だったのだ。ちょっと薄味過ぎたかなぁ〜?と思いつつもそのまま出したのだ。濃いと戻せないけれど薄ければ調整出来ると思いこの味で勝負したのだ。(関西の人も多いしね)評判はと言うと可も無く、不可も無いって所でしょうか。しかしこの「まかない大作戦」は今回で当分お休みとなった。と言うのもまかない日が火曜から俺の働いて無い木曜日に移る事になったのだ。残念なのだ。練習が出来なくなってしまったのだ。でもまたきっと復活するので楽しみに待っててくれぇ〜!そんでもって今回は3本立てなのでちょっと長いがおつき合いしてくれ。


ー落花生男ー

またもや事件発生!仕事仲間と小腹が空いたので店の近くにサラダディナーを食べに行った。そこまでは良かったのだが...。問題はその帰りである。ついつい話し込んでしまい気が着いたら夜中の3時半をまわっていた。すごぉ〜く疲れていたのでイエローキャブを使った。車内に入るとお互い「ハァ〜イ!」と挨拶をかわし俺は行き先を告げた。その中年の男性はいきなり後ろ向いて何やら手に持っている物を俺に差し出し言葉も無くアゴのサインで「取れ!取れ!」と手を差し伸べて来た。俺は恐る恐る手を延ばしたら手の上に可愛い「落花生」を5、6粒くれた。俺は「サンキュウ!」と言って早速一粒むいて口の中に放り込んだ。「うぅ〜ん苦くてコクがあって旨い!」とマンハッタンの夜景を見ながらパクパクポリポリ。「そう言えば最近、殻付きピーナッツなんて見て無いし、買ったとしても安いけど凄い量がくるので買った試しが無かったなぁ〜」俺はそう思いつつ、うとうとしていた。家まで無事に着き、お金を支払ってアパートに向かった。後ろに振り向くとまだキャブは止まっていた。俺は「お金の計算をしてるんだな、きっと...。それにいい人だ。俺がアパートに入るまで危なく無いように見ててくれて...」と思いながら鍵を開けて中に入った。(余談だがいいキャブドライバーはお客さんがアパートに入って安全を確認するまで車を出さず見ててくれる)俺は中に入ってまだ車が止まっていたので手を上げて「サンキュウ!」の合図を送った。所が彼の様子が変だ!「ゲッ!またもや...やってる!」キャブの中で明かりをつけて手を動かしてるではないか!彼は俺に気が着くと車を降りてアパートの入り口まで来たのだ。そしてドアをコンコンと叩いて何か言っている。俺は近所迷惑を考えて「何してるんだ?ゲイなの?」と聞くと「そうじゃない!」と言い張った。「早く仕事に戻れ!」と言うと諦めてイソイソと車を出して行った。またもや!(これで4、5度目である。前回「21話」でも地下鉄でもあった。)あぁ〜恐かったのだ。お店に言ってチーフに話したら「ひろちゃん、もてもてやぁ〜ん!でも物を貰って食べるのは良く無いぞ。だってもし中に睡眠薬でも入っていたらどうするんだ!」とひやかしとお叱りを受けたのだ。本当に反省したのだ。以後、気をつけます。みんなも気をつけてくれなのだ。


ー迫り来る打撲ー

最近、俺の前で「連続足打撲事件!」が立て続けに起きているのだ。最初の被害者は日本に住んでる俺の友達。仕事中に仕事場と事務所をつなぐ階段で滑って膝を打撲。2番目は俺のお店の寿司バーのチーフで遅刻をしそうになり、近道をしようと低いフェンスをジャァ〜ンプ!したらパンツの裾を引っ掛けてこれまた膝を打撲。そして3番目は俺のルームメイトで石畳の道を歩いていたら靴が引っ掛かって膝を打撲。とだんだん俺に距離が近くなって来てるではないかぁ〜!(日本〜仕事場〜アパート)うぅ〜ん気を付けなくては...。偶然が偶然をよんだ事は確かだがきみが悪いのだ。でも幸いみんな膝の皿を割る事も無く良かったのだ。みんなも足元には気をつけてくれなのだ。(ちなみにこの1週間で3件である)


ー多面体意見ー

それは11月に入ってから我が店の各セクションのチーフから厳しいお言葉を頂くハメになってしまい結構、精神的に参っているのだ。「これって、いじめられてるのか?それとも可愛がられているのか?」時々分からなくなる。あるチーフは「だってひろには言い易いだもん!」と言われ、どう解釈していいものか?簡単に言うとみんなも経験があるかもしれないがその厳しい言葉の裏に「愛」があるのか?無いのか?生意気に思われて鼻をへし折られたのか?伸びて欲しいからアドバイスをくれたのか?出る釘を打たれたのか?と切りが無いのだ。仕事にプライドを持っている事は確かに素晴らしい。しかし言葉の言い回しでその言葉がいろいろな意味に変化するのも事実だ、もちろんその人との交流の深さも関係してくるだろう。人それぞれに考え方や目的も違う。その人にとって一番あっている方法を見つけ出しそれを人に意見するのは難しい事なのだ。俺も気をつけなければと思う今日この頃である。

そして今すごぉ〜く疑問に思っている事は「遅くても綺麗に仕事をする」か「多少汚くても早く仕事をする」と言う事だ。俺はまだ勤めて半年しか経ってないので基礎固めのため長い目で見て多少、遅くても綺麗に確実にお客さまに御出ししたいのだ。けれどお店の売り上げからすると回転を早くすればそれだけ売り上げも伸びると言う事なのだと思う。早くて綺麗が一番がいいとは誰に聞いても言うだろう。多分どっちの意見も間違ってはいないとは思うが何かしっくりこないのが俺の正直な気持ちである。こうしていろいろな出来事から考え、日々成長していくのだろう。手探りで歩く日々が当分続くのはきっと避けられないんだと思う。長く働けば働く程、いい事も納得いかない事もあるだろう。今はとにかく自分に正直に、そして信じて頑張っていきたい。俺にとってこの1週間はある意味での転換期となったはずである。

それではみんなもいろいろあるとは思うが頑張って乗り越えよう!俺もまた明日から気分を入れ替えて頑張るのだ。迷う前にまずは実行なのだ!考えてると年が明けちゃうのだ。とにかく年末には充実した1年がおくれたと思いたいものなのだ。そんじゃぁ〜また来週。バイバイなのだ!