シェフの道ー第55話ー 初の涙と感動のオリジナルバースデイケーキ!

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初の涙と感動のオリジナルバースデイケーキ!

<< contents みんなぁ〜寒さにも負けずに元気にすごしてるかぁ〜!ニューヨークは毎日の気温がマイナスだぞぉ〜!この間なんて-10℃まで落ちてテレビでもスペシャルリポートで「The big chill」などとながれるぐらいの寒さだぞぉ〜!でもこんな寒さにも負けずそして鼻水が凍る事も気にせず毎日働いているのだ。それでは今週分もはりきってガガガァ〜ンと書きまくるのだ。それではどうぞ!

さてと今週はすごぉ〜くいい事があって嬉しくて気持ちは地球を飛び出して各惑星にビリヤードの玉のようにカンカンぶつかってまた地球に戻って来た感じだったのだ!それは月曜日にお店に行ったらチーフが突然「ひろ!明日バーテンダーの女の子が誕生日なんだって。お前、ケーキでも作ってみるか!もし作るなら時間ないから急げよ!」って言われてしまったのだ。俺はその言葉を聞いた瞬間「おっ俺に出来る訳ないよ。だってまだ習ってから1ヶ月半だし、人にあげる物なんて...。それにお店の商品ならまだ作れるがそれもオリジナルケーキだって!チーフそりゃないよ!どうしよう?」俺は他の仕込みをしながら30分間黙り込んでしまった。チーフは「もしお前が作るなら俺は他の仕込みでホローして時間作ってやるからさ」って言ってくれてるものの...。「自信がないなぁ〜!あぁ〜どうしよう!」でも負けず嫌いの俺ったら「じゃぁ〜やってみます!」ってついつい言ってしまい頭の中で必死に考えてしまっていた。「ようし、まずはスポンジを作って土台作りだ!そうだチョコレートフレイバーのスポンジにしよう!」俺は思い付くままに道具を書き集めて計量にかかった。そして悪戦苦闘してオーブンに生地を入れた。「綺麗に膨らめぇ〜!おりゃぁ〜!」とオーブンを開けた。「いいじゃない、いいじゃない。うんうんいけてる、いけてる!」と自分の焼いたスポンジをしばししゃがんで観覧していた。「チーフ!チーフ!かなり良く出来たような気がするんですけど、どうですか?」「おぉ〜いいじゃないか!良くやった!じゃぁ〜今日はスポンジだけな。明日その後の仕上げすればいい。」そして俺は2日目に突入した。

俺は疲れを引きずったまま最後の仕上げにとりかかったのだ。さてと次は生クリームを泡立てて、セルクル(ケーキなどに使う丸い型)の中に昨日焼いたスポンジを敷いて苺を半分に切った物を切った面をセルクルの内側に一周そわせた。そして中ににも苺を円形状に入れて、マスカルポーネのチーズ風味のクリーム(よくティラミスに使う物)を敷きその上にさらにキルシュのリキュールのきいた生ホイップクリームをぴっちり入れて、最後にまたチョコレートのスポンジで蓋をした。「出来たぁ〜!何だか分からんけどとにかく出来たぁ〜!」そしてお店の閉店まで冷蔵庫でお休みさせて置く事にしたのだ。チーフに聞いたら最後のデコレーションは出す直前がいいらしい。

さて問題のお店の閉店後。寝かしたケーキから見事にセルクルを外せたら成功なのだが...。「おりゃ〜!スルスル、スポン!」「綺麗じゃ〜!まるで買ってきたみたいなのだ!」と1人でぶつぶつ言いながらまたもやしばし観覧してしまったのだ。そうしたらチーフが来てくれて「ひろ、上手く出来たな!これならお店でお客さんの誕生日のケーキとして予約がとれるな」ってほめてくれて、またもや至福の時である。そしてそのケーキにデコレーションして従業員全員でハッピーバースデイを大合唱しながらお祝したのだ。さてと問題の味は...。これまた大好評でみんなとても喜んで美味しい美味しいと言って食べてくれたのだ。本当に嬉しくてチーフの所に行って感謝のお礼をしたのだ。心を込めて作った物を人に食べてもらい美味しいと言われる快感!うぅ〜ん、たまらんのだ。そしてみんなの食べている時のあの笑顔が生涯忘れられぬ思い出になった。そして俺の初めてのケーキ作りは涙と感動で終った。

これなんだよね。俺が望んでいた気持ちはきっと。誰かに誠心誠意で作った物を美味しそうに食べてくれる。そしてあの笑顔。今まではお店のメニューにある料理を作って出してお客さんに美味しいと言われていたが、正直言ってあまり感動は無かった。それは、その料理の味はチーフが作ったものだからだったと思う。でも今回は俺の創作だったのだ。本当に嬉しくて家に帰っても興奮して寝つけなかったのだ。レストランっていろいろな事がたくさん渦巻いているがこんな幸せな気持ちも作ってくれる場所でもある。そして少し不安に思っていたこの業界に一筋の光が見えてきて本当に良かったのだ。もしかしてシェフのエネルギーの源は自分で完成度の高い料理が作れるようになった喜びでは無くて、厨房の向こう側のテーブルでその料理を楽しみに待っていてくれるお客さんがくれるものではないだろうか...。

それでは今回はこの辺で終るのだ。そして来週はいよいよ今年最後のシェフの道なのだ。みんなも期待していてくれぇ〜!おぉ〜と忘れてた、今週の金曜日は地獄のステーキ祭りになってしまい総枚数で50だった。疲れたのだ。でも頑張るのだ。だってみんなも頑張ってるんだよね?そんじゃぁ〜また暇があったらこのページを見に来てくれぇ〜!バイバイなのだ!