シェフの道ー第93話ー ”ATTACK ON AMERICA”ー号外編ー

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”ATTACK ON AMERICA”ー号外編ー

<< contents それは9月11日(火)2001年の朝の事だった。寝ぼけ眼でコーヒーを作り、ソファーに座ってテレビのスイッチをパチッ!「何だ、朝から映画のディープインパクトの再放送か?」と目をパチッパチッ。「何か様子が変だぞ?これってもしかして、どこかの国で事件が?」と再度、目を擦る。下の流れるテロップを見たら「World Trade Center...?ワ、ワールドトレードセンター!!!(以下WTC)それも2本のビルの片方から煙りが出ているよぉ〜、た、たいへんだぁ〜!!!」と、やっと今起きている事が自分の中にじわじわと浸透してきたのだ。俺はテレビで放映される悲惨な事実を目と耳を最大限に凝らして分かろうとしていた。(以下の文章ははっきりとしたものではないです。しかし、頑張って書きます。)

9月11日(火)2001年

ー午前8時46分ー
ボストンからハイジャックされた国内線旅客機が乗客を乗せたままWTCの宸Pのビルの上部に追突。黒煙と共に炎上。この時の衝突の映像はいまだに入手されていない。

ー午前9時00分ー
ボストンからハイジャックされた2機目の飛行機が今度はWTCの宸Qのビルの中部に追突。爆発音と共に炎上。アメリカで流れているのはこの瞬間からの映像。燃え上がる宸Pのビルを眺めていた人達の目の前で乗客をのせた旅客機が宸Qのビルに追突。ここから悲劇は始まった。きっと、この時からニューヨーカーは「これはただの事故では無い!これはテロリストによる攻撃。そして戦争」と、感じた群衆が悲鳴と共にアップタウンに走り逃げる。

ー午前9時30分ー
宸Qのビルが崩壊。突然の事で生き埋めになる人が続出。

ー午前9時45分ー
宸Pのビルも崩壊。これでWTC中心部が全焼崩壊。

ー午前10時15分ー
宸Vのビルディングが何の前触れも無く崩壊。またもや生き埋め者続出。

そして、いまだハイジャクされて行方不明になっている旅客機数機が確認されてない。今度はどこを狙っているのか、見当もつかないこの恐怖。

巨大な煙りに逃げ惑う群衆、悲鳴、そしてパニック。逃げ遅れた人が灰まみれになり血を流す。高層ビルから熱さ煙りで呼吸を塞がれた人が100階の窓から飛び降りる。ハイジャックされた飛行機内で死を待っていた人が約250名死亡。(子供、妊婦を含む)飛行機のビル内から逃げ遅れた人が約1000名死亡。突然の崩壊で消防士が約200名死亡。そして行方不明になった消防士が約300名。そしてその他、行方不明になった人数はいまだ特定できず。電話回線の断線。地下鉄、バス、タクシー、飛行場、橋の全面閉鎖。レッドクロスによる献血の呼び掛け。24時間体制で待つ、ドクターとナース。K9(救助犬)による生き埋めの人達の生存捜査。みんな疲れていた...。どうしようも出来ないもどかしさ。なんでこんな事になってしまったのかと自分を責める人。目の前で亡くなっていった人達の勇敢な横顔。さっきまで隣で笑っていた仕事場の仲間達。どれもこれもが認められない事実である。

今回のテロは旅客機を使い、こちら側は乗客が乗っている事で打ち落とす事もできず涙を飲んだ。ニューヨークの他、ペンタゴン、ペンシルバニアにも乗客もろとも墜落攻撃。自分の国の軍用機を使わず、罪も無い人を巻き込む、この卑怯で冷血なテロリスト。何が目的なのか、いまだ国民には理解できず。アフガニスタンのリーダーのインタビュー。パレスチナの子供の旗をかかげ、ブイサインをする子供と老人達。こんな子供達が大人になったらと恐くなる。怒るなら勝手に怒ればいい。恨みたければ勝手に恨めばいい。なぜ、罪も無い人を巻き込むのか?俺は理解できない。アメリカは移民の多い国。そして、テロリストと同じ国籍の人もたくさんいるはずなのに...。アメリカの経済を脅かすためなら自分の国の人達の命も犠牲もかえりみない残酷な心。これが同じ人間かと思ってしまう。選んでみんな、その国に生まれた訳でも無いのに、国どうしの経済や環境を勝手に比較して敵と判断するその知能の低さ。本当に呆れる。とにもかくにも人が亡くなった事に対して歓声を上げ、喜び、笑う奴等を俺は絶対認めない。

亡くなった方々へ
「あなたの無念と苦しみは私達が少しずつ背負い、解消します。だから安心して眠ってください。死ぬよりあなたを失って1人残され、生きる方が数倍苦しいのだから...。こんな事で負けるほど、人は弱く無い。生きていれば必ず、いい事もある。そう、教えてくれたのはあなただったでしょ。自分がもう少し冷静になるまで時間をください。今の自分ではあなたが願う事が出来無さそうだから。」

皆さんも今回の悲惨な映像を目をそらさず、胸に焼きつけてください。こんな事が2度と起こらないためにも。

同日の深夜、街が焼け焦げた匂いが部屋にこもり、俺は飛行機音やサイレンが近付く度に寝つけず「もしかして、こまま寝たら死んでしまうかもしれない...」と1人怯えていた。こんな体験は今までなかった。

ーひろー