![]() |
さよならチーフ!とアメ友の苛立ち |
|
<< contents |
おぉ〜い!みんなぁ〜元気かぁ〜!あれから1週間が経ったニューヨークから今回も頑張って元気にお届けするのだ!テレビはやっと通常の番組が続々と顔を出し、視角からの圧迫が少なくなってきた。現場の方はまだ少し煙りが上がってはいるがだいぶ落ち着いてきています。しかしまだ、チャイナタウンのキャナルストリートから下は通行止めになっているのだ。それにしてもこれだけの巨大なビルが崩れたわけだから復興はかなり時間がかかりそうである。そして今回のシェフの道は話題がたくさんあるので瞬きしている暇はないのだ。それでは最後までおつき合いしてくれぇ〜!どうぞぉ〜!!!(ちなみにニューヨークの天気は少し肌寒くなって来ていて、いよいよ秋本番!) さてと、今週からシェフの道の”チャレンジ編”から”フレンチ編”が始まった。ホームページの表紙の葉っぱも赤とオレンジに紅葉して何だか良い感じなのだ。それとは裏腹にお店は相次ぐ連続事件で緊迫していた。それが始まったのが今週の月曜日。営業終了後に突然のオーナーの呼び出しにより、長年働いてくれたウエイター&ウエイトレス2人が首になった。あまりの突然の出来事にまわりも動揺していた。そして、お店のあまりにも無謀な全面メニュー改正で、それに着いていけなくなった従業員達が次々と辞めたいと言い出している事件が大発生!俺も予期していなかったグリルのメンバーも他のお店に移りたいと辞職願いを出した。そのせいで各セクションの従業員が足りなくなり俺も来週から激忙しい生活がスタート。それと言うのも2人のオーナーは我がレストランをフレンチジャパニーズにしたいらしく、売れている商品も全面カットし全く違ったお店にしたいそうである。不安のつのる残された従業員。めまぐるしく変わるお店にいささかみんな疲れている。さて、このお店の方向転換が凶とでるか吉とでるかは乞う御期待である。そして今週の目玉は1年と4ヶ月、我がグリルで頑張ってくれたチーフがグリーンカードの取得と共にお店を引退した。そのパーティーは俺が幹事となり盛りに盛り上がって幕を閉じた。ここで一言「チーフ!短い間でしたが本当にお世話になりました。チーフが教えてくれた料理を作る楽しさと、どんなに辛い事があっても苦しい顔せずに頑張っていたあの笑顔を俺は一生忘れません。そしてあの幻の餃子のレシピも俺の一番の宝物になりました。ありがとうございました。そしてお疲れ様でした」(うるうる)しかし、それだけでは無かった。あの有名レストランで働いていた寿司シェフの親方もチーフの送別会で辞職する事になった。(はぁ〜どうなるこれから...我が店は?) ほんでもって今週のテーマは「アメ友の苛立ち」である。あの、温厚で優しい俺の友人の声を今回は聞いて欲しい。それではどうぞ! 俺は事件以降からアメ友に会っていなかった。久しぶりに食事でもしようと言う事になり俺達はマンハッタンにあるカフェレストランに行った。メニューをオーダーし、先に来たフランスパンを食べながら楽しく会話をしていた。ところが彼が突然言い出した。『ひろ、俺は今誰かと喧嘩したい気分だよ。それがダメなら何か物を思いっきり壊したい!』「どうした?何かあった」『見ただろうテレビで。何だよあれ!あれが俺が長年愛して来たニューヨークなのか?いやっ違う!』「.....」『俺、悲しいよ。何でこんな事をされなきゃいけないんだ。みんな何をした?俺が何をした?』と、アメ友が俺に悲しそうに語りかけてきたのだった。それまでは、その話題に触れないようにお互いにしていたのだけれど、レストランで食事をすると言う行為が亡くなった人への罪の意識に変わり、突然の心の動揺。そして、食事をしている最中にこの事件で頭が少しおかしくなったかもしれない人がストリートを歩きながら ”I wiil die!(俺は死ぬ!)”と叫びながら歩いて行く。このダウンタウンは物凄い量の尋ね人のはり紙とキャンドルの数。ストリート全体が慰霊キャンドルの匂いに包まれている。あれから1週間が経ち少し冷静さを取り戻し、現実が見えて来たニューヨーカー。怒りを隠し切れず我慢しようとするその態度がとても痛たましい。そして、このテロリスト達が犯した罪は亡くなった方の遺族だけでなく、こうしたアメ友のような一般市民までもノイローゼにしてしまうぐらい強烈な出来事になった。「アメ友よ!俺が付いているからな。何も出来ない俺だけど話しを聞く事はできるからな。いつでも電話をくれ!」 それでは今週分はこれぐらいにして、また来週元気に会うのだ!それまでバイバイなのだぁ〜! |