シェフの道ー第96話ー コケッとさばいてとファイナルギフト!

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コケッとさばいてとファイナルギフト!

<< contents 「ヒュウ〜!う〜ぶるぶるぶる。寒すぎるぅ〜!」ってニューヨークはもう冬まっしぐら。知ってはいたがニューヨークは春と秋は異常に短い。食欲、読書、ロマンチック秋なんて言っている場合ではないのだ。外の気温はすでに51V(10℃前後)なのだ。「今日は薄手のコートで!」なぁ〜んてもってのほか。いきなりTシャツからダウンジャケットだぞぉ〜!!!それでは、今週分も10月から入る暖房ちゃんヌクヌクを夢見てガンガン、ブルブル書きまくるのだぁ〜。それではどうぞなのだ!

さてと、今週は初めてチーフ無しでの仕事だったのだ。仕事とは誰が抜けても結局まわるものだと実感。新チーフは少しずつではあるが、ステーキの仕込みの仕方やアペタイザーのソースを変えていっているのだ。そして何と言っても、この様変わりから俺の新しいシェフ修行へのチャレンジが始まった。先週から始まった特訓は「ホールチキン(丸ごとのにわとり)をさばく」なのだ。丸ごとと言っても生きてるニワトリを網持って追っかける所からでは無く、すでに首と羽が取り除かれた状態から、手羽先、胸、足、ささ身などに切り分けていく作業である。俺も久々の新しい特訓に胸がワクワクした。何とも言えない緊張感が心地よく体中にはしり「これだよ!これっ。これが欲しかったんだよなぁ〜」と厨房の隅でまわりに人陰がいない事を確認し、独りでニヤニヤ。そして、握りこぶしを作って小さく「Yes!」。その数秒後、俺は何事も無かったように次の仕込みに戻ったのだった。ほんでもってお店の方はどこかの大宗教の方達の断食が始まりお客さんがあまり来ず、ガラ〜ンとしたものだった。そして従業員の不安はつのるばかりである。新メニューはいつからスタートなのか?そして、その先はどうなるのか?かなり笑顔が無く暗い感じなのだ。本当に心配である。ここで突然だが、久々の「第9回まかない大作戦」(去年の11月の49話ぶりなのだ!)は「つくねあんかけソースといんげんの胡麻あえ」だったのだ。なにせグリルチームから2人も辞職者がでてしまったため、必然的に俺になった。そしてまかないどころでは無い出来事があったのだ。それは突然だが、何と今週の木曜日からグリルに新チーフが連れて来た凄腕のフレンチシェフが仲間に加わったのだ。その人はニューチーフよりできると言う噂。いやはや目まぐるしく環境が変わるので仕事意外で最近疲れる事が多いのは気のせいか...。いったい、あの活気溢れる我がレストランはどこへ行ってしまったのだろうか?みんなもこれから、どう店が変わっていくか楽しみにしていてくれ!

そして今週のテーマは「ファイナルギフト!」なのだ。これは俺が働いてから今まで我がレストランを辞めて行った方からの貴重な教えである。俺が勝手に感じて学んだ事なのだ。それでは、とりあえず読んでみてくれぇ〜!

*Sさん(メートルディー)
「勝手な思い込みの世話焼きほど、相手に苦痛を与えるものである。分からなければ素直に「どうして欲しいのか?」聞く事である」

*Mさん(マネージャー&メトルディー)
「強情さも1本筋を通せば、以外と立派なその人の哲学になる」

*Sさん(ウエイトレス)
「体を壊すと言う事はあなただけの問題ではなくなる。あなたのまわりの人の顔を見てください。健康でいる事の素晴らしさが分かるはずです」

*Aさん(ウエイター)
「どこに行っても生きていけるタイプと思われるのだけは避けたい。なぜなら、本当の自分はそんな自分じゃ無い事を良く知っているから...」

*Mさん(ウエイトレス)
「どんなに忙しくても常に相手にに笑顔で接する事ができる人は、必ず自分にその何倍もの素敵な笑顔が返ってくるはずである」

*Tさん(ウエイター)
「人生の選択権は常に自分が持っている。後はどこに大勝負を賭けるかである」

*Cさん(ウエイトレス)
「愚痴が言いたければ、とことん言えばいい。そこから得られるものがあるのならば...」

*Hさん(ウエイトレス)
「いつも元気でいる事はまわりに生きる力を与える」

*Kさん(ウエイター)
「誠実な態度は相手に信頼感を生ませる」

*Aさん(ヘッドウエイター)
「無償の働きは一見地味に見えるが、これこそが自分の器の大きさである」

*Fさん(キッチン)
「本当の自分の夢に辿り着くまでの道のりとは、自分がその事をしていても辛いと感じていない時である」

*Sさん(寿司シェフ)
「自分のペースで歩く事も大事だが、他人に迷惑をかけてまですることだろうか?もう一度考えて欲しい」

*Lさん(寿司シェフ)
「引き際を決断する事も自分の大きさを知る良い機会となる」

*Tさん(寿司シェフ)
「遊んでいる様に見える人は凄く仕事ができるか、ただのナマケモノかである」

*Sさん(寿司シェフチーフ)
「自分が作るすべての物に自分がうつしだされる。もっと心を磨く事」

*Iさん(寿司シェフ)
「辛抱強く継続できる力は誰もが本当は持っていて、ただ本当にやりたい事を見つけていないだけではないだろうか?」

*Kさん(寿司シェフチーフ)
「朝起きて最初に考える事があなたの適職ではないだろうか?」

*Tさん(グリル)
「自分の中の良心をまげてまで人にこびる必要は無い。」

*Kさん(グリルチーフ)
「人が人に物を教えると言う事は言葉では無く、自分の前向きな姿勢が相手に最高の教えとなる」

皆さん本当にお疲れ様でした。それぞれ、いろいろな事情でお店を辞めて行かれましたが、俺はあなたからたくさんの素晴らしい言葉を頂きました。あなたがくれたこの言葉を胸にしっかりと刻み、これからの生きる力にさせてもらいます。あなと働けた事が俺の誇りとなり未来に必ずつながることでしょう。別々の場所で新しい生活が始まりますが、くれぐれもお体には気を付けてください。機会があればまた元気にお会いできる事を心より祈っています。それでは皆さんの今後の御活躍を祈りエールを送らせて頂きます。「フレーフレー皆さん!頑張れ、頑張れ、皆さん!」(愛を込めて拍手ぅ〜!!!)

さてさて、今週分はこのぐらいにして、また来週元気にあうのだ。それまでバイバイなのだぁ〜!季節の変わり目だが風邪引くなよぉ〜!またなぁ〜!

*ニューヨーク通信!
「やっとニューヨークにも活気が戻ってきました。しかし、職や住居を奪われた人は行き場が無く困っています。どうしようも出来ない自分に少し腹が立つ。だからせめて、来てくれたお客さんには暖かい食事を心を込めて毎日出すように頑張っています。それが俺ができる最低限の事だと思うから...」