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面接

<< contents  さすがに面接の前の日は興奮して寝られなかった。何に興奮してるのかもわからずに。次の朝シャワーを浴び、重い体をひきずって面接に向かう。

 (やっぱり帰ろうかな。でも、行くって約束したしな)

 緊張を隠すかのようにウォークマンのボリュームをあげる。足が重いとはこういう時に使うのだと実感していた。

 (どうせ受かるかわからないしな。ダメもとで行ってみよう)

 自分に自信がないのが手に取るようにわかる。顔色も何だかさえないし。 重く薄暗いドアを開けて店の中に入る。中にいる人を訪ねていき、いよいよ面接だ。オーナーと話す。名前は? 年令は? どこに住んでるの?と、次々に質問に答える。

 (ラストチャンスかも知れない、はっきり言うんだ自分の思っている事を、そしてさわやかに笑顔、笑顔)

 その時、何かが俺の中で起きた。それはオーナーの最後の質問だった。

 「今までプロで働いた事はありますか?」

 この言葉が俺の心に突き刺さった。

 「そうか、もしここで働くとしたらプロになるんだ。俺はプロになるんだ。」

 そう思った瞬間、俺の中の好奇心が目覚め、どうせやるならバイトじゃなくてプロになるんだ!腰掛けのつもりでなんてやれない!

 「あのぉ〜、ファッションやめて来ました。これからの10年間、2度目の人生しにやって来ました。よろしくお願いします!」

 そうしたら、オーナーはにっこりと笑ってチーフにたずねた。

 「いつから入ってもらう?」
 「じゃあ月曜日から!」

 (やった!やった!やったぁ〜〜!受かった!いや、まだわからんぞぉ〜、入ってすぐに首になるかもしれない!そうならないように気合い入れていくぞぉ〜!)
そして、真っ先に耳が隠れるぐらいの髪を切りに行き、言われてた包丁も靴も買いに行った。どこまで出来るかわからないけどやれるだけやってみよう!精一杯やってだめなら後悔しないはずだ!そして興奮さめやらぬまま、仕事日を迎える。よっしゃ〜、いくぞうぉ〜!

 ーここから、俺の2度目の人生が始まった。ー